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エンリッチメントとは

最近、よく耳にする「エンリッチメント」という言葉。

とても動物飼育にとって大切なことですのでまとめてみました。

1.飼育動物のエンリッチメントとは

「飼育動物のエンリッチメント」とは、動物の生活環境や日常生活において、動物の飼育環境を豊かにし、生理的・心理的な健康を促進することです。

いわゆる動物本来の多様性に満ちた行動を引き出していくことだそうです。動物園や動物保護施設などで特に注目されていますが、もちろんペットも同様です。

エンリッチメントの方法はさまざまで、例えば、以下のようなものがあります

①物理的エンリッチメント

動物が探索したり遊んだりするための構造物やオブジェクトを提供します。

●例えば、隠れ家やオモチャなどが含まれます。

②知的エンリッチメント

動物の知的能力を刺激するための課題やパズルを提供します。

●例えば、隠された食べ物を見つけ出すための探索課題やトレーニングが含まれます。

③感覚的エンリッチメント

動物の感覚を刺激するための音や匂い、視覚的な刺激を提供します。

●例えば、自然の音を流す、新鮮な草や花(無害のもの)を提供するなどが含まれます。

④社会的エンリッチメント

動物同士や人間との交流を促進するための環境を提供します。

●例えば、仲間との適切なグループ化や、人間との信頼関係の構築が含まれます。

(捕食関係などのリスクは十分検討します)

このようなエンリッチメントの工夫は、動物の福祉や幸福に直接影響を与えるため、飼育環境の設計や管理において近年はとくに注目されています。

2.インコのエンリッチメントとは

さて、インコ(小鳥)の場合はどうでしょうか?少し具体的に挙げてみました。

重要なのはやはり、その生活環境や日常生活において、精神的・身体的な刺激を増やし、自然な行動や能力の発揮を促すことです。

①適切なケージ設置

愛鳥のために適切なサイズのケージを用意して、止まり木で様々な高さや階層を持たせましょう。止まり木の材質や長さは異なるものが複数ある愛鳥が飽きずによいようです。ただし入れすぎにも注意しましょう。また、ケージの設置場所は、直射日光とロストリスクの高い窓際、エアコンの吹き出しのそばや暗い場所は避けましょう。

インコたちは基本的に昼行性で寂しがり屋ですのでリビングがおすすめです。余談ですが、人間より目線が高い場所に長くいると人間を下に見る(見くだす)ようになるとか・・(ほんとかな?)。なお、他のペットとの同居は十分注意しましょう。インコは自然界では捕食対象のためストレスが高まってしまうのは間違いありませんので。

②自然な環境模倣

自然な行動ができるよう、飼育環境には木の枝や葉、草などを加えて自然な風景を模倣しましょう。

ただし、森や空き地で枝や草を拾ってきてそのままケージに配置するということではありません。寄生虫や細菌などのリスクが高いのでむしろ非推奨です。・・そもそもインコたちはそれぞれ原産地が異なりますし、生い立ちも異なりますので何をもって自然か?という謎かけ的議論もありますが・・。

ここで言う自然とは、デジタルで光ったり無機質な金属感満載な人工物だらけにしないようにしましょう、ということです。自然っぽいものをケージに配置するというイメージです。模倣する場合は小鳥専用の資材を用いるのがおすすめです。(そんなの当たり前じゃん・・と怒られそう・・)

③オモチャの提供

愛鳥が遊び、あちこち探検し、噛むことができるモチャを提供しましょう。とにかくインコは遊びが大好きな子が多いです。逆にどんなものでもオモチャにしてしまう天才とも言えますので、用意するものは厚紙の箱でもペットボトルのキャップでもどんなものでも構いません。むしろ、飽きっぽい性格の子は、同じもので遊ばなくなるのが早いので要注意です。せっせとお世話しましょう(笑)

なお、インコたちは「噛む」ことで様々な情報を得ようとしますので、噛みやすいものは愛鳥が喜ぶと思います。木のオモチャやかじれる止まり木などは超おすすめですね。それ以外で人気なのは、ベル、ミラー、ロープなどですが、過発情や事故リスクもあるので、与えた後はしっかり様子を見ましょう。

④食事のエンリッチメント

愛鳥に食事(とくに、おやつ)を与える際には、食べるのに工夫が必要な方法をあえて提供してみましょう。いわゆるフォージング(採餌行動)の機会を与えるのです。ただなんとなくおやつを食べるより、工夫して(頭を使って)おやつにたどり着くことで、愛鳥にとってさまざまな刺激になります

おやつを紙でくるんだり、まつぼっくりの間に挟んだり、フォージングの工夫は無限大です。また、専用のおもちゃ(フォージングトイ)も多数販売されていますので、ぜひお試しください。

⑤音や視覚的刺激

鳥は、基本的に遊ぶことが大好きで、どんなことにも興味津々です。常に刺激がたくさんある自然と異なり、ケージの中ではその刺激には限界があります。そこで、自然な音や動画、鏡などを提供してみましょう。ここで活躍するのが、タブレットやアレクサです。我が家では留守の時などは大活躍しています。

長い時間留守にする時は、定期的にラジオを流すなど人間の声を聞かせたり、優しい音楽を流したり、動画を流すことで、愛鳥は生き生きと留守番を楽しむことができる・・・まではいかないと思いますが、ケージの中で退屈で眠ってばかりいる状況は避けられるでしょう。アレクサのタイマー再生なども便利です。

ただし、これも、やりすぎはよくありませんので、必ず様子を見ましょう。愛鳥だってボーっと休みたいときや眠い時もありますよね~。

⑥社会的刺激

愛鳥が他の鳥や飼い主との交流を楽しめるよう、適切な環境を提供しましょう。

同種の小鳥と一緒に過ごしたり、飼い主との遊びやトレーニングを行ったりすることで、社会的なコミュニケーションを通じて多くの刺激を受けます。自然界では群れで生活をしているインコたち。それに比べて、飼育されたインコたちは社会的な刺激が乏しくなりがちです。私が何よりも大切と思うのは、放鳥時は目いっぱい愛鳥とコミュニケーションをとることです。ながら放鳥はしないように気をつけましょう。思わぬ事故につながることもありますし。社会的な刺激の第一歩は、飼い主さんとの密なコミュニケーションであることは間違いありません。これも、言われるまでもない、という飼い主さんが圧倒的に多いと思いますが(汗💦)

ここでご紹介したエンリッチメントは、インコたちの幸福や健康を促進し、より充実した生活を送るのにきっと役立つはずです。まだやったことがないエンリッチメントがありましたら、ぜひお試しください。

最後までお読みいただきありがとうございました。


インコの豆知識

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